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沢田研二入門レヴュー 『 Julie Special ~沢田研二 A面コレクション~ 』

 ” いまさらファン ”の入門編として、とりあえず往年のジュリーのA面曲ばかりを集めた3枚組 「 Julie Special ~沢田研二 A面コレクション~ 」についてざざっと書いてみます。

1971年の「 君をのせて 」から1985年の「 灰とダイアモンド 」までの、みんながイメージする” いわゆる ”ジュリーのヒット曲がほとんど網羅されているお得なアルバムです。

  一般認知ではジュリーの黄金期はDISC2の時代でしょうが、懐かしいのはなんといってもDISC1ですね!なんでしょうか、この懐かしさ、うれしさは!岩谷時子作詞の名曲「 君をのせて 」や、傑作「 時の過ぎゆくままに 」はもとより、のちの歌謡曲の男性アイドルの原型になったような曲が並んでます。というわけで、上記2曲以外の歌詞は、PYGとは違って、いわゆるアイドル歌謡って感じですが、この時代、なんといっても特筆に値するのは井上バンドの演奏です。ほんとうにThe歌謡曲って感じの曲調、歌詞でも、ジュリーの歌と声と、井上バンドの演奏で聴かせる曲になってます。このジュリー+井上バンドのコラボのようなクォリティは、このあともちょっとないですね。

 DISC1では、これまで歌詞もふくめて好きだったのは、上記の2曲ですが、今回、あらためて聴いてみて印象的だったのは、「 危険なふたり 」のモダンさ、古びてなさと、「 恋は邪魔もの 」のバンドサウンドの素晴らしさです。「危険なふたり」は、あの印象的なギターのリフとともに大ヒットしたのでよ~く覚えていますが、「 恋は邪魔もの 」は、ジュリーファン以外には、あまりなじみの無い曲だと思いますが、これはいいですわ!!歌詞は、ほんとうにどうってことはないですが、純然たるバンドサウンド、特に岸部さんのベースがたまりません!!大野克夫さんのピアノとシンセのアクセントもかっこいいですし。さらにおまけとして、アルバムジャケットのジュリーの黒いつなぎにゴーグル、赤のオーストリッチのストールという衣装も、「 追憶 」のボルサリーノ帽に花のコサージュ、サスペンダー、フェミニンなストールのジャケット写真と同じくらいカッコいい!!ってことも。PYGにその原型があるジュリー+井上バンドはTOKIOで別れるまで続くわけですが、なんども言いますがニューミュージックも含めても、これくらいいいコラボってそんなにないくらいのクォリティだと思います。いま聴いても充分の聴きごたえです!

 というわけで、問題のDISC2ですが、ここで私的に謎なのは2曲目の「 さよならをいう気もない 」です。「時の過ぎゆくままに」に始まる阿久悠、大野克夫コンビの曲なんですが、主人公が女性の曲を男性が歌うという、よくある”ど”が付くくらいの歌謡曲で、ジュリーはどんな気持ちでこの曲歌ったのだろうと思ってしまいますが。だからか金色のキャミソールというショッキングな衣装で、それはそれで、物凄いインパクトはありますけど。。でも阿久悠さんの歌詞で思うのは、比喩が秀逸だってことですね。「 はしゃぎ過ぎた子どもがベソをかくように 」とか「 季節を見送る詩人のように 」とか、DISC1の「 立ちどまるなふりむくな 」でも、「 心に悲しみの青いあざ 」とか「 色あせたフィルムのように 」とか「 とざされたウィンドウのように 」とか。そしてそのありきたりでない比喩に込められた情感を表現するジュリーの表現力がまたありきたりでなく秀逸なのはいうまでもありません。
 
 このあとは阿久、大野コンビによるいわゆる”男のダンディズム”が追求されていくわけですが。。なんかあの時期、毎回物議を醸すほど衣装に凝ったのは、今は彼の反逆精神だったと考えると肯定したくなります。ただ、「 サムライ 」とか「 ロンリー・ウルフ 」とかの男のダンディズムがステロタイプになってしまっている曲は私は苦手です。ちなみに本人が嫌いだという「 OH!ギャル 」の歌唱とパフォーマンスは、その言に反して完璧なんですよね。(※東京音楽祭の動画は必見です! ) 「OH!ギャル 」ってところをあんなに”コケティッシュ”に、しかも”男性で”歌える歌手を私は知りません!!そしてこの時期の演奏では特に「 カサブランカ・ダンディ 」の間奏部分がゴージャスで大好きです!

 そして問題の「 TOKIO 」で井上バンドとの別れが。。私的には、当時流行ったテクノサウンドがどうも苦手でして、また当時流行ったコピーライター崇拝文化も苦手でして、あんまりこの曲にいいイメージは無かったのですが、「霧にけむった不思議の街に あやしい胸さわぎ 」、「やすらぎ知らない遊園地が スイッチひとつでまっ赤に燃え上がる 」っていう部分は、そこはかとない虚無感が根底に感じられていいですね。。

 でDISC3ですが、「 酒場でDABADA 」は、前に書いたような理由で苦手です。この時期は、ロック色、バンド色が強まった時期ともいえるでしょうか。でもそんな曲の間にまた阿久さんの「麗人」みたいな曲をはさんだり、陽水さんに頼んだりの少し迷走気味の試行錯誤の時期だったのでしょうか。でも代表曲は本人作曲の「 ストリッパー 」と大沢誉志幸作曲の2曲、「 おまえにチェックイン 」と「 晴れのちBLUE BOY 」かな。でもこの2曲の歌詞は沢田研二にしては少し物足りない。歌詞より曲調重視の今風の曲つぅ感じです。。で「おまえがパラダイス」と「ストリッパー」の作詞は三浦徳子さん。歌詞的には断然こっちのほうがいい。「おまえがパラダイス」の「 おまえの素肌が 矢のように恋しくて 千里を飛んだ 」ってとこ好きですねぇ。ステロタイプな表現を使って、ステロタイプでない曲を作るという高等テクニックは、このジュリーの曲以外では、あの清志郎しか思い浮かびません!このシンプルなロックに乗るのも、右に出るひとはいないと思うくらい” ロッカージュリー ”の本領発揮って感じですきです。ちなみに阿久悠さんの「 麗人 」ですが、いきなり「 結婚 」と「 永遠の約束 」をタブーにしようときて、「 ありふれたしあわせの未来図 」を忘れようとくるところなど阿久ワールド全開ですね。そして「 音楽が聴こえない抱擁 」という比喩は、やはり素晴らしいです。。

 そして最後に来るのが李花幻こと沢田研二作詞作曲の「 灰とダイアモンド 」で、ここから新生ジュリーがはじまるんだという意志と気迫を感じる曲になってます。私は全体に硬派な歌詞をシャラララララの部分で柔らかくしているところがジュリーっぽくて好きです。

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