« 「 漱石の凄さ 」 | Main | 「 崖の上のポニョ 」~足りないのはなにか~ »

映画「西の魔女が死んだ」

 映画「西の魔女が死んだ」を観ました。中学生の主人公まいが、不登校になり、山の中で一人暮らしをしている「西の魔女」と呼ばれている英国人のお祖母ちゃんのもとにしばらく預けられることになります。(おばあちゃん役は、あのシャーリー・マクレーンの娘のサチ・パーカーさんです。)まいが「おばあちゃん大好き」と言うと、おばあちゃんは「I know」と答えます。だいすきなおばあちゃんのもとで、まいは「魔女修行」をすることになりますが、この物語の魔女は、別に箒に乗って飛んだりなどという特別なことをするわけではありません。夜は11時に寝て、朝は7時に起き、朝食をきちんと食べ、おばあちゃんに日常の細々とした仕事を教わる=生活するのです。その映画に映された、おばあちゃんとの日常のなんと素晴らしいこと!途中で、おばあちゃんに学校でのことを相談するシーンはありますが、まず、主人公は、そのおばあちゃんとの日常の生活=労働によって、癒されていくのです。たらいの中で足踏みして洗ったシーツをふたりで絞って、ラベンダーの上にぱっと広げて干すことの楽しそうなこと。ハーブを煮てつくる虫除けの薬。そして、おばあちゃんの作る料理のおいしそうなこと!おかあさんとまいが到着したした日にまいが畑から採って来たレタスで作ったサンドイッチ、裏山のワイルドベリーで作るジャム、そして、そのジャムをのせたトースト、お父さんが訪ねて来たときに出たキッシュ、「時々、夜急にお菓子を焼きたくなる」といって、おばあちゃんがまいの寝室まで持ってきたクッキー、郵便屋さんのバイクが故障したときに出された果実酒、いろいろなハーブティーなどなど。おばあちゃんは、まいにそれらの仕事を教えながら、まいのはなしを聞いてくれます。決して押し付けがましくなく。
 
 「女の子の付き合いって独特なの」

 「大変ですねえ」

 そして、日本の山の自然の豊かさ。おばあちゃんが「まいサンクチュアリ」と名付けた、山の中のまいのお気に入りの場所。そこでひとりで過ごす至福の時間。子どもにとって、そういう場所と時間がどれだけ大切か。そして、女性にとって、生きるとは、こういう日常の細々としたことをこなしながら生活することだということを改めて思い出させてくれる。女性は、そうやって昔から生きてきた、そしてこれからもそうやって生きていく。そこに女性の強さがあると思う。このおばあちゃんの境地までには至れなくてもである。

 おばあちゃんの訃報を聞いて、駆けつける車のなかで、母(娘)が「あのひとはほんとうの魔女だったの」とまいに言う、「魔女」とはそういう意味。

 映画では、生前のおばあちゃんとまいが、あることをめぐってわだかまりを抱えたまま別れて、和解できないままおばあちゃんが逝ってしまったことを、まいが悔やむシーンがありますが、それが感動のラストシーンに繋がりますので、是非映画でご覧になって下さい。

|

« 「 漱石の凄さ 」 | Main | 「 崖の上のポニョ 」~足りないのはなにか~ »

映画」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 映画「西の魔女が死んだ」:

» 西の魔女が死んだ/魂の行方  [マダム・クニコの映画解体新書]
魔女役のサチ・パーカーははまり役だ。品の良さと少ない言葉で、温かくて大らかな 祖母を、これ以上ふさわしい俳優はいないだろうと思わせるほど巧みに演じている 。 魔女とは、英語の「ウィッチ」の訳で、「妖術使い」のこと。ウィッチの語源は、古イギリス語の「賢い女」だといわれている。  古くは、豊穣信仰のような、キリスト教以前の異教の実践者である巫女をさすという。いずれにしても、エコロジーの精神を持ち、大地の精霊の力を借りるのが特徴だ。「女占い師」として、ハーブなどの薬草を始め、産婆術にも長け、人間... [Read More]

Tracked on June 30, 2008 05:15 PM

» 満足度ランキング1位 西の魔女が死んだ を観てきました。 [よしなしごと]
 ぴあ満足度ランキングで1位となった、感動必須の西の魔女が死んだを観てきました。 [Read More]

Tracked on July 21, 2008 02:24 PM

« 「 漱石の凄さ 」 | Main | 「 崖の上のポニョ 」~足りないのはなにか~ »