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私がドラマ「歌姫」を評価する理由 ④~あざとさから遠く離れて~

 前回、一話、ニ話を振り返った時は続けるつもりは無かったのだが、その勢いで全話振り返ってみようと思う。

 三話、メリーのガセネタからゲルマン救出に中村に向かった太郎の留守に、オリオン座に噂のクロワッサンの松が現れ、「松中」と名乗り、法外なみかじめ料を要求する。(ここでもクロワッサンやエスプレッソを注文したりして、勝男との間で軽いボケをかましてはいたのですが、この時点ではとりあえずまだシリアスな狂犬でした。それと、フランスかぶれらしく着ているスーツやソフト帽は上質そうでなかなかのお洒落だということがわかります。)一方、太郎とゲルマンは、メリーの勘違いによって口ゲンカをし、メリーのバーで102回目の決闘の約束をしますが、これはお約束ということで、ここは、太郎とゲルマンのテンポのよいセリフのやりとりを楽しむ趣向だと思います。クロワッサンの紹介とともに、太郎とゲルマンの友情がこの回のおもなテーマですから。それと、松は勝男たちに「これから末永くよろしく頼んますわ。」と、今後の伏線のようなセリフを言っています。オリオン座ではジェームス・ディーンの「理由なき反抗」が封切となり大入となるのですが。(映画は、映画音楽のみの紹介でした。)そして、食卓シーンでは、ゲルマンの差し入れの魚をめぐって、太郎の食べる食べないのやりとり。(長瀬君はこういう芝居がほんとうにうまいです。)一方、松はゲルマンを抱き込んで太郎を刺させようとしますが、その噂を聞いても、太郎のゲルマンへの信頼と友情は揺らぎもせず、ふたりは友情をさらに深めることになります。(これは前回の岸田夫婦の太郎への思いに続いて、太郎と太郎を取り囲むひとびととの愛情の絆を示すエピソードです。今回のクラプトンは浜で太郎にゲルマンが抱きつくシーンで流れ始めました。)今回の「たろたろりんりん」は、太郎に気持ちを伝えたい鈴ですが、太郎にいつもの「山猿ネタ」の「たろたろりんりん」でごまかされて伝えることができないというふたりの間の縮まらない距離の象徴でした。鈴の恋を応援する姉、泉によって太郎の気持ちの一端を聞かされた鈴は喜びます。そして、クロワッサンとのみかじめ料の約束の期日が来て、太郎と対面したクロワッサンは、そのヘタレ振りを全快にさらしてしまいます。おまけに、初対面の鈴にひと目惚れしてしまい、それまでの態度を豹変させて、もちろん、みかじめ料の話も、あっさり引っ込めることになります。

 四話、頭で、クロワッサンのヘタレ振りと豹変ぶりが、岸田家やメリーのバー、ゲルマンたちとの会話のなかで話題になります。メリーのバーで、勝男の、浜子との結婚前の失敗した夜這いのエピソードを聞いた太郎は、急に心配になって、鈴に木刀を渡し、きっちり戸締りをするように言います。(ここのふたりの演技ー鈴が怒っていると感じてしまうような太郎の真剣さに鈴への思いが現れていますーはいいですし、次回太郎とクロワッサンとの対決のあとで鈴が思い出してニヤけるシーンにつながります。)理由なき反抗を気どる神宮寺君に「ふたりは付きあっちゅうがでしょう」と言われて、みんなの前では否定するふたりですが、クロワッサンの強引で幼稚なデートの申し込みを断りきれずOKしてしまう鈴に、周囲はやきもき、太郎は表面上は平気な振りを装っていて、しかもデートの当日太郎は鈴のいて欲しいという頼みを振切って出かけてしまい、鈴はショックを隠せません。太郎は、実はみんなに知られないように、クロワッサンの訪問を実力で阻止していたのですが。そうとは知らず拍子抜けしたみんな、夕食時の岸田家では、太郎の行動を知らない鈴を始め、浜子も不機嫌を隠せません。この後、ロビーで鈴が太郎に不満な気持ちを爆発させて、バケツの水をぶっかけて飛び出して行きます。(このシーンも太郎の人間の器の大きさを感じさせるいいシーンです。)飛び出したまま帰らない鈴を心配して捜しに来た太郎は、メリーのバーで酔いつぶれている鈴を見つけて背中におんぶして帰ります。バックに流れるクラプトン。(このシーンもとてもいいです。その前の初めてのやけ酒シーンの鈴の初々しさ、可愛らしさもよかった。鈴の自分への思いに気付きながら踏み出せない太郎の葛藤とは別に、次のシーンにつながるふたりの思いがあふれて来る情感あふれるシーンでした。)そして夜這いに忍び込んだ松に怒り、太郎は思わず「鈴はわしの恋人なんじゃ」と言ってしまいます。驚きとともに喜びを隠せない鈴。(こういうシーン、長瀬君、佐藤君ともにそれぞれ感じの出し方がうまいですね。鈴の隠せない喜びの表現もよかったし。) 五話につづく。

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