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私がドラマ「歌姫」を評価する理由 ⑦~あざとさから遠く離れて~

 十話、東京へ帰る前に中村でクロワッサンに会った美和子は、鈴のことが好きなクロワッサンに太郎と鈴はお似合いだからふたりの邪魔をしてはいけない、と言って東京へ帰って行った。がっくりするクロワッサンに久松は、早く金を集めて来いと言う。美和子が帰って鈴と太郎の恋を応援していたジェームスも、太郎がいなくなるのではと怖れていたゲルマンたちもホッとしていた。皆は、太郎が土佐清水に残ったことを祝う宴会を計画していた。鈴は、美和子と太郎の娘の話を聞いて以来、考え込む風で、ずっと元気が無い。そんな鈴を勝男や浜子、そして太郎も心配していた。そんなある日、太郎にのど自慢大会で優勝し、松に言われて太郎を刺そうとしたが、太郎にいさめられて改心したあの芥川ただしから手紙が届く。上京してストリップ小屋で下働きをしながら、専属歌手として唄い続けていたところ、レコード会社の関係者の目に留まり、デヴューを前提に歌のレッスンを始めたところだと言う。(芥川のエピソードは最終話の旭の現代シーンにまでつながる。)メリーのバーで喜ぶ太郎たちに、メリーがうれしそうにロシアとの間に「ややこできたちや」と報告して、皆はさらに喜ぶ。(ここでタバコ家のチン毛さんの名前が大浜万次だということが初めてわかる。それまでは名前を覚えてもらってなかったのが、あとのロビーのシーンで勝男によって初めて「万次」と名前で呼ばれるが、実は映画「歌姫」の監督でもある。脚本は勿論ジェームス。)
 元気の無い鈴に、太郎は自分の記憶が戻りつつあること、けれどここでの生活を忘れているわけではないと言う。「だいじなことを全部思い出してもここにおれるがやろうか」と言う鈴に太郎は「わしにとって一番大事ながは今の生活やきね」と答える。そこに松が現れて、太郎に金を集めて来いと言う。日本一の極道になって鈴を幸せにすると言うクロワッサンに、鈴は、愚連隊とかやくざとかは大嫌いだ。極道とは関わりあいたくないので、ここにはもう来ないでくれ、ときっぱり言う。鈴に振られたクロワッサンをメリーに連れていった太郎は、松の両親が広島でピカの犠牲になったことを聞く。そして松は太郎に、お前ごときの愛情では鈴は幸せにはなれん。自分は鈴のことをあきらめない、と言う。家に帰った太郎は、鈴に告白しようと鈴の部屋に行くが、鈴にキスしようと顔を近づけると、ゴリラネタの「たろたろりんりん」でごまかされてうまくいかない。
 オリオン座のロビーでゲルマンたちが、太郎を囲む会の計画を話し合っているところへ、メリーが血相を変えて入って来た。ロシアが「とうきょういきます」と言う手紙を残していなくなってしまったと言うのだ。一方、中村のキャバレーで、松は久松に堅気になりたいと申し出る。久松は「いかん」と言うが、松の決意は固い。組のみんなに取り囲まれる松。
 オリオン座のロビーでは鈴が買い物に行こうとしていた。ついつい子どもに目が行く鈴。その時、きゃーと言う叫び声がして、ぼこぼこにされて大怪我をしたクロワッサンが杖を突いてロビーに入ってきた。鈴に、組を抜けて来た。自分は愚連隊でもやくざでもない、堅気だと言ってから倒れ、皆に病院に運ばれて行った。鈴は、「うちがやくざきらい言うたきや。」と言ってあとを追って出て行く。床に残った松の血を見ながら、「あいつはまっこと男の中の男ぜよ」と言う太郎に、ジェームスは、感心している場合ではない、すぐに鈴に結婚を申し込むべきだ、鈴はそれを待っている、と言う。それを聞いた太郎は、「鈴はわしみたいな男といっしょになってくれるかのう」と呟く。
 浜で考え込む鈴のところに鯖子がやって来た。鯖子は美和子と太郎の間に子どもがいることを知っていた。そのことで悩む鈴に、「わしらは、丸顔(美和子)の勇気ある決断を快く受け入れればそれでえいんじゃ」と言う。その言葉に鈴の顔が少しふっきれたように明るくなった。
 映写室で、鈴へのプロポーズの言葉に思い悩む太郎に、ジェームスはプロポーズの脚本を書いてみてはどうかと言い、太郎もそれに賛成し、出来たらジェームスが手直しをする約束をする。(最初は鯖子とジェームスのコンビがよかったが、後半は太郎とジェームスのコンビがよい感じを出してました。)その日の晩御飯は久し振りに鈴の作ったライスカレーだった。映写室の隣の休憩室でプロポーズの脚本を書く太郎のところに、鈴が食事の用意ができたと呼びに来るが、大事な仕事中なのであとで食べると言う太郎。メニューが鈴のカレーだと聞いて食べようかどうしようか迷う太郎と鈴のやりとり。結局、「ライスカレーとはちゃんと向き合わんとねや」、「みんなにおかわり禁止や」と言うように伝えてあとで食べることにする。行こうとする鈴に「なんちゃあないき」と言う太郎。「なんやも~」と言う鈴。(息の合ったふたりのやりとりを聞くのもこれが最後になってしまった。)シナリオ作りに行き詰った太郎は、「その場に行ってみんとねや」と言って港に行く。空にはオリオン座。太郎の回想シーン。ここは、太郎と鈴のセリフがクラプトンの「Change The World」の歌詞の和訳になっている。(私が「歌姫」の中でも大好きなシーンです。)

 鈴 「ほいたら、もし太郎ちゃん王様になれたらどうするが?」

 太郎 「そうやねや、 おう、鈴をお妃様にしてやるぜよ」

 

 太郎 「この世の中を変えることができたらねや、

     この世の中をもしわしの思う通りに変えることができたらねや、

     わしが鈴の世界の太陽の光になっちゃるき」(もちろんバックにクラプトン)

 「鈴の太陽になってやらんといかんねや」、と呟いて懐中時計を海に捨てようとする太郎。その時バーメリーの戸がばたんと開いてメリーが出て来た。思い詰めた顔で崖に佇むメリー。不審に思った太郎はメリーのあとを追って崖に行く。「死んでしまいたいちや」と言うメリーに、自分が土佐清水の皆に守ってもらったように、その子は皆で育てればえいやろ、と言ってメリーを思いとどまらせて連れて帰ろうとしたその時、太郎の手から懐中時計が海に転がり落ちそうになる。咄嗟に時計に手を伸ばした太郎は、足をすべらせて、そのまま転落してしまう。血相を変えて岸田家にやって来るメリー。鈴や勝男、晋吉たちは一晩中、岩場や海を捜すが見つからぬまま夜が明ける。翌日、浜で鈴は流れ着いて流木に引っ掛かっている太郎を見つける。手にはしっかり懐中時計が握られていた。勝男と鈴は太郎が生きていたことに喜ぶが、砂浜で、一瞬意識を取り戻した太郎は、「自分はここで何をしているんでしょうか」と10年前に四万十川に流れ着いて記憶を失った時と同じセリフを言う。驚く勝男と鈴。その時、太郎の耳に爆撃音、飛行機の墜落する音が聞こえ、叫び声を上げて耳をふさぐ太郎。そんな太郎を見て涙をこぼす鈴。最終話につづく。

     

 

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