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私がドラマ「歌姫」を評価する理由 ⑥~あざとさから遠く離れて~

 七話、美和子の涙が頭から離れない鈴。一方太郎と美和子が結婚していたと知った浜子は、勝男とふたりで鈴の気持ちを考えて悩んでいた。たくあんを切れば全部つながっていたり、それを太郎にからかわれても乗ってこず、食卓で東京の話題が出ても、美和子の話題が出ても関心なさそうにする鈴が、太郎をはじめ、理由が美和子だと知っている勝男と浜子も気になって仕方がない。美和子は親分に一旦東京に戻って長期滞在の準備をしてからまた帰って来ると言って東京に帰った。そんななか、鯖子が、美和子が太郎の奥さんだと言いふらしていることがわかる。勝男は鯖子に言いふらすのをやめるように言いに行ったが、逆に「それで誰が幸せになるがじゃ」これは太郎と美和子にとって「とんでもない奇蹟ぜよ」と言われて黙る。勝男は美和子の境遇と共通点のある鯖子の過去を知っていた。(今回のクラプトンは勝男の語る若い日の鯖子の回想シーンだった。)太郎は、まだ美和子が妻であることを知らなかったが、鈴に「どこにも行かんといてや」と言われたり、泉と鈴が太郎の記憶が戻ったら土佐清水に来てからの記憶が失われるかもしれないという話をしているのを聞き、そして鈴がそうなったら「こじゃんとさみしいちや」と言うのを聞き悩んでいた。ある日、神社にお参りに行った鈴は、そこに現れた松に、太郎と美和子が夫婦だったことを聞かされて、ショックで家に逃げ帰ってくる。映写室から降りて来てロビーでぼんやりしている鈴の涙に気付いた太郎は、今度中村にいっしょにライスカレーを食べに行こうと言いながら手ぬぐいで優しく涙を拭いてやると、鈴は「うちがつくったライスカレーの味ずっとずっとわすれんでや」と言う。そのころ美和子は決意を胸に東京から帰って来ていた。今回の「たろりん」は、太郎の回想の中で、幼い鈴が太郎を元気付けようと始めたたろたろりんりんの紹介だった。そんな太郎のところにジェームスがあわてて訪ねて来る。「これからたいへんなことになると思うき」と言って。そのあとに鯖子が美和子を伴って訪ねて来る。鯖子は太郎に美和子と話し合うように言って帰る。バーメリーでジェームスに美和子が太郎に会いに行っていることを聞いた鈴は走って帰るが、ふたりのいるロビーには入れない。(ここで流れる音楽は切なくていいです。「惚れぬいた相手には生まれかわって必ず出会える」と言う太郎のセリフは、太郎と鈴=旭とルリ子の未来を予言している。)そして美和子が太郎が自分の夫だと告白するのを聞く。涙がこぼれる鈴。ついに怖れていたその日が来たと。美和子との記憶を失っている太郎は驚くばかり。
 今回、六話で登場したロシアのキャラ、(変な日本語をしゃべり勝男に「意外と鬱陶しい奴ぜよ」と言われる)が明らかになる。ゲルマンとロシアの決闘も例によって未遂に終わる。ロシアとメリーのカップルは、太郎と鈴の運命を変える出来事に関わることになる。愛(メリー)のために東京から土佐清水へ来たロシア。

 八話、美和子から自分の本当の名前は及川勇一だと聞かされた太郎は、その夜美和子の話を聞いていたロビーの椅子に座ったままの姿で朝を迎える。鈴も同じく自分の部屋で座ったまま朝を迎える。翌朝、いつものように明るくふるまう太郎。鈴が掃除をしにオリオン座の外に出ると、映画館をのぞき込んでいる美和子がいた。勇一の好物だったという「いぶりがっこ」という秋田の漬物を持って。漬物を持って食卓にもどった鈴は、漬物を食べながら明るく振舞うが、太郎は当惑している皆の雰囲気を察して、漬物に手をつけない。オリオン座に訪ねてきた親分や美和子の話によると、太郎は東京帝大出身のインテリで、父親は東京の市会議員で、勇一の将来の夢も政治家だったと言うことだった。しかし両親は東京の空襲で死亡し、現在の勇一は天涯孤独の身であるという。美和子は昼間は近くの食堂で働き、夜は太郎と話すためバーメリーで待っていると太郎に伝えるが、美和子のことを思い出せない太郎は乗り気ではない。一方、鈴は太郎が本当に勇一かどうか確かめるために、美和子に会いに行く。メリーで美和子から勇一の話を聞き、美和子の持っている勇一の写真を見た鈴は、太郎は勇一であると確信する。(ここで、のど自慢大会での太郎のギターの謎が解ける。勇一はギターを弾くのが得意だった。)とぼとぼ帰る鈴を太郎が迎えに来た。「ほんまにわしって決まったわけやないろう」と言う太郎に鈴は「決まりちや」と太郎が勇一であると断言する。複雑な太郎。その様子を見ていた美和子は鈴と太郎の想いに気付く。一方、やくざをやめて政治家になると決めた山之内の親分のもとに、網走の刑務所から久松の兄貴と呼ばれる険しい目つきの男が帰って来ていた。
 太郎は鈴に中村にいっしょに行かないかと尋ねるが、鈴は「行かんほうがえいろう。うちも今どうしたらえいかわからんきねえ。」と答える。ジェームスから太郎と鈴は想い合っている仲だと聞いた美和子は鈴に会いに来て、鈴の気持ちを確かめようとするが、鈴は美和子に精一杯平静を装って自分と太郎はなんちゃあない、納得いくまで太郎と話をしていってくれ、と言うが、部屋に帰ると泣き出してしまう。美和子は鈴の太郎への想いを確信する。そのあとロビーに降りてきた太郎は美和子に自分が持っていた懐中時計のことを尋ねると、美和子は、それは自分が勇一の二十歳の誕生日に贈ったものだと言い、美和子が付けているひまわりのブローチは勇一が自分の二十歳の誕生日にプレゼントしてくれたものだと言う。そして自分にも何か夢が合ったのかと尋ねる太郎に、美和子は、勇一の夢は父の跡を継いで政治家になることだったと言う。それを聞いても自分が及川勇一だという実感が湧かない太郎。そんな太郎に、松は山之内の親分に代わって一家を構える久松の兄貴に仕えて日本一の極道になり鈴にプロポーズすると言う。その夜、誰もいない台所で、こっそり美和子の持って来たいぶりがっこを一口食べて、そのしょっぱさに驚く太郎。
 翌日、歩いていて急にお腹が痛くなった泉を慣れた感じで介抱する美和子。(これは美和子に子どもがいることの伏線だった。)美和子に泉の件の礼を言う太郎だが、美和子には正直他人としか思えんと言ってしまう。家に帰ると、鈴が太郎にもらった真珠のネックレスを無くしてしまったと泣いている。鈴を自分の部屋に連れて行った太郎は、あのネックレスはクロワッサンらに騙されて買ったバッタものだったと言い、こっそり本物と交換しようと思っていたと言う。安心した鈴はバッタもののネックレスをうれしそうに見つめて、「うちはこれでえいき」と言う。(バックにクラプトン流れ出す。)太郎にネックレスを着けてくれと言う鈴。太郎がネックレスを着けようとしてふたりの顔が近づいた時、鈴は思わず太郎にキスしてしまう。(音楽止まる。この演出は「歌姫」らしくてよかった。)そんな鈴を太郎はそっと抱き締める。(切なさと甘さでは切なさのほうが少しだけ多かったかも。鈴と太郎の距離が接近した今回、たろりんは、「そのフリじゃたろたろりんりんはできんき」と鈴が言って無し。)

 九話、食事ができたと呼ばれてあわてて茶の間に来るふたり。(鈴のことをさりげなく気遣う太郎がいい。)舞い上がっているらしく様子が可笑しい鈴を笑いながら見つめる太郎。食卓では泉の生まれて来る子どもの話題が。社長は男の子が欲しいのかという太郎に、浜子はうちには男の子は太郎がいるからと言う。部屋に帰ってもどきどきして変な行動をする鈴。(が可愛い。)一方、太郎は茶の間で勝男たちと今夜はとことん飲もうと言ってはしゃぐ。そんな太郎に勝男もとことん付き合うと言う。メリーで、来てくれない太郎を待つ美和子は、メリー相手に勇一との思い出を話し始める。そんな美和子に女として共感するメリー。翌日、ゲルマンたちにいつまでいるのかと言われて戸惑う美和子。一方ジェームスは太郎と鈴がキスしたと知って喜ぶ。オリオン座に勇一の好物ハンバーグを差し入れに行った美和子は、泉が産気づいたと知って映写室から降りて来た太郎に、自分から逃げないできちんと向かい合ってくれ。あんたには私と向き合う義務があると言う。その日、泉には女の子が生まれて感激の涙を流す晋吉、皆も大喜び。(ここで、鈴は山で拾われて来た山猿のネタで「たろりん」が、そして太郎は川で拾って来たというネタで「うちではな、子どもはな、どっかで拾って来るからな、」「勝男と浜子でうちら夫婦でございます。もう30年」が披露される。たろりんに比べると間とか乗りがいまひとつなのは御愛敬。)その晩、太郎は勝男の助言もあって決心してメリーのバーへ美和子に会いに行く。そのことを勝男から聞いた鈴は医者の釜谷先生のところへ行き、のど自慢大会で太郎が急にギターを弾いて歌い出し、そんな自分にまったく疑問も抱いてないことを話すと、太郎は昔と今の記憶が混じりあっているか、あるいはギターを弾けない自分を忘れている=徐々に今の生活を忘れているのかもしれないと言われる。美和子をさば塩まで送っていった太郎は、美和子に泊まっていってくれと言われるが、太郎はそれはできんぜよと言って帰って来る。
 山之内の親分に別れを告げる松は、自分は久松のところで日本一の極道になって好きなおなごを幸せにするつもりだと言う。親分は、お前に極道は向いてない、命を大事にするように、と言う。
 新作の封切の日、オリオン座にはゲルマンたちや鯖子やジェームスが映画を観にやって来た。ゲルマンは出産祝いの鯛を持って来た。そこで子どもの名前のことが話題になる。太郎は男なら旭、女ならルリ子と付けると言い日活アクションで来たかと盛り上がる。子どもを「誰と作りたいがじゃ」と太郎に迫る鯖子。(太郎と鯖子、ジェームスのショートコント風やりとりだが、いつもながら鋭い鯖子。)その様子を外から眺めていた美和子に浜子が気付いて、浜子の誘いで浜子と美和子は浜で話すことになる。普段は元気そうに見えた太郎が10年間悩んでいたこと、苦しんで生きて来たこと、太郎が美和子と東京へ行くのが幸せなら自分らはそれを邪魔するつもりはない、と言う浜子に美和子は勇一の命を救ってくれたこと、大事にしてくれたことの礼を言う。(この時の浜子のセリフ、「これはほんまよ」と美和子に礼を言われたあとの「ほいたらね」は浜子の気持ち―息子同然の太郎の母親としての寂しさ―が籠められていました。)考え込む美和子に鯖子が、太郎を本気で連れ戻す気が無いなら自分が傷付いていくだけだ、帰った方がいい、と言う鯖子。(いつもながら真実をずばりと突いて来る鯖子。)
 久松におだてられて土佐清水で金を集めて来いと言われる困惑する松。岸田家では、晋吉が付けた「華」と言う子どもの名前をめぐって、太郎が祖父が命名するのがしきたりやったろうと言い出して皆は当惑する。太郎の記憶が徐々に戻って、太郎がいなくなった時のことを考えると寂しさが増す勝男と浜子。晋吉と泉は、鈴に太郎に自分の気持ちを伝えることの重要さを伝えて鈴を励ます。それを聞いて太郎に手紙を書く鈴。手紙を書きながら、まるで太郎に宛てたような海岸に流れ着いたメッセージボトルの手紙を読む昔の自分と太郎のことを回想する鈴。その時の太郎の言葉を思い出しながら。勝男から岸田家には子どもの名付けに関するしきたりは無いと聞き、記憶が戻りつつあるのではないかと聞かされた太郎は、記憶が戻ってもここでの生活を忘れてない、「それはめでたいことぜよ」と言い、「ここに残るがか」と尋ねる勝男に「当たり前ぜよ」と言って、美和子に昔の家のしきたりを聞きにメリーに出かける。(バックに流れ出すクラプトン。)その頃、さば塩に山之内の親分が現れて、美和子に勇一を東京にいっしょに連れて帰る、自分の政界進出に勇一を巻き込みたい、と言う。勇一にとって東京の生活はここでの生活よりはるかに幸せだと言って。一旦は同意する美和子だが、勇一を連れて帰るために訪ねたオリオン座のロビーで、美和子は親分に、今の太郎は勇一とは違う人間であり、無理矢理連れて帰っても幸せにはなれない。ひとりで東京に帰ると言う。(ロビーでの演技はいつも舞台的でいいですね。そしてメリーでのゲルマンらと楽しそうに飲んでいる太郎のカットが美和子と親分の会話に挟まれるのも効果的。)そんな美和子に親分は、勇一と美和子の娘「さくら」のことはどうするのかと問うが、(「青春」の間奏流れ始める)美和子は、さくらは父親は死んだと思っているので、いままでどおりひとりで育てると言う。映写室でさくらの話を聞いてしまった鈴の手から太郎への手紙が落ちる。(鈴の独白のあとから「青春」2番のボーカルが入って来る。)さば塩の前で太郎に会った美和子は太郎にさよならを告げて東京に帰っていく。十話につづく。

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