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「さいごの戦い」に感じた違和感

 前の記事でも書きましたが、もう一度「ナルニア国ものがたり」の「さいごの戦い」の終わり方に感じた違和感について少し考えてみたいと思う。

 まず、この物語ではナルニアに出かけた子どもたちの中で、只ひとりだけ現世のことに心奪われて、ナルニアに関心を示さなくなったスーザンのことが、登場人物によってとても否定的に語られています。そこまではわかるとしても、両親や兄弟姉妹たちが列車事故ですべて死んでしまうという設定は、彼女が、こちらがわの世界にひとりぼっちでとり残されてしまうことになり、それではあまりに可哀そうすぎる気がしました。

 それと、「馬と少年」と「さいごの戦い」で特に感じたのですが、カロールメン国はイスラム世界をモデルにしているのが明らかなので、キリスト教世界とイスラム世界を単純に善と悪として描いているのは、厳しい両世界の対立が顕になった現代から見ると単純すぎる比較だと思う。

 そして、やはりラストで子どもたちが列車事故で死んでしまうことによって彼らがアスランの国に残ることになるという設定は、上に書いたスーザンの境遇も含めて、やはり子どもたちに向けた物語としては乱暴すぎると思われるのです。私は、やはり彼らは、「ほんとうのナルニア(アスランの王国)」を見届けたのち、こちらがわに帰ってくるべきだったと思います。

 と、いろいろな疑問点が、特に「さいごの戦い」については(この物語のキリスト教思想との深い係わり、アスラン=イエス・キリストであるという解説を前提にしても(岩波少年文庫版の竹野一雄氏による))やはり、その終わり方には違和感を感じます。勿論、そのことによって、この物語の素晴らしさ、面白さ、アスランがこの物語の中で放っている輝きや彼が体現している価値の素晴らしさや、その他の登場人物の造形のおもしろさなどは損なわれることはないのですが、少し気になる点としてまとめてみました。

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