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「ハウルの動く城」

 遅まきながら、レンタルDVDで映画「ハウルの動く城」をやっと見ました。
 封切りの時の評判があまりよくなかった作品ですが、私にはそれなりに楽しめました。原作とはかなり変わっている部分もあり、魔法使いサリマンの設定―原作では男性で、荒地の魔女の呪いによって行方不明となっており、その捜索を王よりハウル―又の名を魔法使いジェンキンスが仰せつかるという設定でした。そして、映画の荒地の魔女はサリマンによって簡単にやっつけられてしまい情けないお婆ちゃんになってしまうのですが、原作では、終盤までハウルと壮絶な闘いを繰り広げます。そして、荒地の魔女をやっつけたハウルは、最後に魔女をあやつっていた悪魔との闘いに勝って、皆にかけられていた呪いをとくのですが、映画で、ハウルが闘っていたのは、サリマン率いる王国の軍隊でした。(この辺りの描写も反戦という視点から見ると物足りないと感じた人が多かったらしい。)そして、ハウルが火の悪魔カルシファーと交わした契約の説明も映像で説明されるだけなので、原作を読んでないひとにはわかりにくかっただろうと思う。ソフィーが老婆になるという必然性も映画では家族関係の説明もあまりないので映画だけを見てソフィーの心理を理解するのは難しいと感じたひともいたかもしれない。原作では、ソフィーの心理に沿って物語が進んでいくのに比べて、映画のほうは、王国の軍隊に象徴される軍や戦争というものに対する反戦のメッセージがかなり前面に出ていたので、その分、ソフィーやハウルの人物描写や心理の描き方が不十分になってしまったのではないだろうか。原作を読んだ者としては、この物語は、あくまでもソフィーとハウルという若いふたりの成長物語のほうに主眼が置かれていたと思う(例えばハウルの「守る者(ソフィー)ができたので強くなれたんだ」というようなセリフに見られる)ので、そういう視点から見れば別に映画に不満はないのだが、強いて弱点を挙げるとすれば、反戦のメッセージを強調したために物語の主題がぼやけてしまったと言えるのではないだろうか。(その辺りをよく知るにはやはり原作を読むことをお勧めします。)
 
 ところで、この映画で意外によかったのはキムタクのハウルです。ドラマのように”何を演っても木村拓哉”という感じではなくて繊細なハウルになりきった声の演技はなかなかよかったと思う。
 逆に不満だったのは、原作に比べて荒地の魔女の悪の描き方がちゃち過ぎて凄みが全くないこと。
 (只の「有閑マダム」のような・・)
 時期的に反戦のメッセージをどうしても盛り込みたかったのかもしれないが、やはり原作どおりに荒地の魔女と彼女を操っている悪魔の”悪”を描いたほうが、物語にもっと厚みが出て面白かったし、ファンタジーとしても成功したのではないだろうかと思う。
 ※参照、前記事「魔法使いハウルと火の悪魔」

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Comments

こんにちは
今年の初めに書いた記事なんですが、TBさせていただきました。

「ハウルの動く城」は、物語としては欠点があるけど、それを補ってあまりある魅力も多いので、ジブリの中でも好きな作品です。
キムタクのハウルは良かったですね。
見る前は話題作りの配役かと思いましたが、そうではないことを納得させるに足る演技だと思いました。

Posted by: きつね | December 14, 2005 at 10:27 PM

きつねさんコメントありがとうございます。
キムタクのハウルはよかったですね。原作を読んだ時に、ハウルにイメージ的にはぴったりだとは感じていましたが、あの、いつもの「まてよ~」みたいなところがなくて(ファンはそれを自然な演技と言いますが)好感が持てました。

Posted by: azami | December 15, 2005 at 12:31 AM

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Tracked on December 14, 2005 at 10:24 PM

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