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絵本のなかの子どもの顔~エッツ他

 今回は、ちょっと変わった視点で絵本を紹介してみたいと思う。

 絵本の絵の方に注目して、”絵本に描かれた子どもの顔ベストスリー”と言った感じで選んでみました。

 ひとつめは、 「おやすみなさいフランシス」 (ラッセル・ホーバン 文 /ガース・ウイリアムズ 絵 /福音館書店)です。この絵本の主人公、あなぐまの子どもフランシスの顔は最高です。
 まず、表紙の絵の、こっちを向いたフランシスの顔の好奇心にあふれて、生き生きした目の表情を見ていると、思わずぎゅっとしたくなるほど可愛いいです。
 次に、おとうさんにおんぶしてもらって、へやまでつれてってもらうときの、フランシスのみちたりて、とろんとしたうれしそうな顔を見ていると、こっちまでしあわせな気分になってきます。
 次に、へやのすみにとらがいると両親にうったえにいくときの顔も食べちゃいたいくらいかわいい。
 そして、散々、両親にあまえてはなしを聞いてもらって、あんしんしたフランシスの寝顔がまた可愛い。子どもが小さい頃、「子どもって、寝顔が一番可愛い」と思ったりしたことを思い出します。フランシスの顔を見ていると、そんな時期を思い出して、しあわせな気持ちになれます。子どもの子どもらしさをこんなにも巧みに描けるガース・ウイリアムズの観察眼と表現力には、ただただ脱帽するばかりです。

 次に紹介するのは、私の大好きな絵本作家マリー・ホール・エッツの 「またもりへ」 (福音館書店)です。
 この絵本は、前に紹介したエッツの絵本「もりのなか」の姉妹篇とも言える絵本ですが、またもりのなかへいったぼくが、どうぶつたちと、じぶんのとくいなことのみせあいっこをじゅんばんにするというあそびをするのですが、ぼくのばんになって、ぼくがどうぶつたちのまえでさかだちをしたあと、はなでぴーなっつをつまもうとして、おかしくなってわらってしまうという重要なシーンがあるんですが、そのぼくのわらう顔が、これまた本当にいいんです。エッツの絵は、「フランシス」のガースの絵ほど細部を描いていませんが、最小限の線だけでよくぞここまで、というほどそのぼくの笑顔が絶品なのです。
 それは、物語のラストで、また、ぼくをむかえにきたおとうさんに、「おとうさんだって、ほかに なにも できなくても いいから、おまえのように わらってみたいよ」と言わせるほどいい笑顔なんです。そして、そういう笑顔を描ける、エッツにも脱帽するしかありません。

 最後に、日本の画家から誰かひとり挙げておきたいのですが、なかなか思い浮かばないですね。いわさきちひろさんもうまいと思いますが、彼女の描く子どもは、愁いがあって、ちょっと私の思う子ども像ではないんですね。
うーん、絵の大きさと大らかさで赤羽末吉画伯を挙げておきます。昔話が多いので、おじいさんとおばあさんの絵がやっぱり多いですが、日本古来の子どもの顔のよさがあると思う 「ももたろう」(福音館書店)のももたろうの顔を挙げておきます。
 やっぱり、日本の場合は、子どもの生き生きとした表情まで描くという伝統がないのかなあ。

 子どもというのは、ある年齢までは、世の中の愁いなどからは守られて育ってほしいし、そういう子どもたちの見せてくれる豊かな表情は、私たち大人にとって得難い宝石のように大事なものに思われます。風船一個、石ころ一個で幸せになれる彼らの能力を「またもりへ」のおとうさんのようにうらやましく思いながら。

 

おやすみなさいフランシス
松岡 享子 / Hoban Russell / Williams Garth

 
またもりへ
間崎 ルリ子 / Ets Marie Hall

ももたろう
赤羽 末吉 / 赤羽 末吉著 / 赤羽 末吉絵 / 松居 直

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