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フォークロアな絵本~タバック&ヤノッシュ~

 夜の間に雪が降りました。5cmくらい積もりました。私の住む南国では珍しいことです。時々、屋根から落ちる雪の音が、ばさっ、ばさっ、と聞こえてきます。普段より静かな気がします。
 今回は、フォークロアな絵本をニ冊紹介したいと思います。一冊目はシムズ・タバックの「ヨセフのだいじなコート」(フレーベル館)です。(2000年のコールデコット賞受賞作です。)
 ヨセフは穴のあいたコートを持っていました。表紙の絵のコートは、すでにすそのほうにいくつも穴があいています。まず、ヨセフはそのコートにつぎをあてて着ます。次に、すそのほうを切って、ジャケットを作ります。ジャッケトの袖が破けてきたらチョッキにします。という具合に、次々と小さいものにリサイクルしていって、最後にはボタン(くるみボタンなんでしょうね、)にして使います。ボタンをなくしたところで、お話は終わります。もうそれ以上リサイクルできないので。この絵本は、切りぬき絵本の手法が使われていて、リサイクルした次の形が、前のページの窓から見えるようになっています。私は、コート→ボタンになるという徹底ぶりに感動しました。皆さんはどう思われますか。貧乏臭くていやだと思うでしょうか。新品の服を着ている子がほとんどのような最近の子どもたちはどう思うでしょうか。案外、「すごい!」と思うんじゃないでしょうか。
 それと、切りぬき以外にコラージュの手法も使われていて、この絵本の、温かいフォークロアな雰囲気作りにマッチしています。それと、ストーリーと関係ない文章が、ページの端っこのほうに(コラージュされた新聞などに)書かれていて、(ナンセンスなものが多いです、)それを見落とさないように読むのも楽しみでした。
 「I Had a Little Overcoat」というイディッシュ語のわらべ歌をヒントにして書かれた絵本だそうです。

 フォークロア絵本、二冊目に紹介したいのは、絵本「おばけリンゴ」が有名な、ドイツの絵本作家ヤノッシュの、「くまのサーカスザンパーノ」です。
 
 ある村に、赤いトラックに乗って、ザンパーノおじさんと、くまがやってきました。おじさんは、おそろしいくまを、みごとにてなづけて、くまにいろいろなげいとうをさせます。くまは、おじさんのいうことならなんでもやりました。つなわたりやおどりまで。おしまいに、くまがおじぎをすると、おじさんはそのあたまのうえに、どかっとながぐつのあしをのせて、とくいそうなポーズまでしてみせました。みんなは、「おじさんってすごいなあ。」とかんしんしてみていました。そのとき、ハエがとんできて、くまのはなさきをまわりはじめました。くまはハエをおいはらおうと、手をぐるぐるまわしはじめました。それにつられてくまのつなをにぎっていたおじさんのからだも、空をぐるぐるまわりはじめました。そして、そのつなが切れると、おじさんはそのままどこかへとんでいってしまいました。くまは、そのまま森のなかへきえていきましたが、おじさんはいまでも空をとびつづけているそうです。ときどき、よそから来た人が「あの、空をとんでいるのはだれですか。」とたずねるそうです。

 くまよりつよいといい気になっていたおじさんですが、ほんとうは、くまのほうがつよかったんですね。
 ”これはほんとうにあったおはなしです。”という言葉でこのお話は終わっていますが、どこかで聞いたようなお話だと思いませんか?
 油絵風のタッチで、一見稚拙にみえるように描かれたヤノッシュの絵は、その作品に”素朴派”と呼びたいような懐かしい雰囲気を醸し出しています。

 

ヨセフのだいじなコート
シムズ・タバック作・木坂涼訳

 ※ヤノッシュの「くまのサーカスザンパーノ」は、現在、書店では入手困難なようです。図書館でさがしてみてください。
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